認知症の方の対応をした方なら経験あると思いますが、認知症の当人の「家に帰りたい!」って気持ちが強く出て、対応に困ったことはないですか?
・祖父が実家の故郷に帰りたいと口にしている
・ここが今の家ですよ、と説明しても納得してもらえない…
など
そんなとき、家族や施設職員はどんな対応をしたら良いでしょうか?
認知症による帰宅願望の対応に困ったら、「帰りたい」というお気持ちの理由や背景、原因など順を踏んで探っていくことで、解決の糸口が見えてくることがあります!
この記事では、「こんな場面だったら、こんな声掛けをしたら良い」のようなマニュアルではなく、介助者ご自身でどんな声がけをすれば良いかを見つけるヒントとなるように執筆しています。
ぜひ参考にしてみてください〜✋✨
★帰宅願望とは
そもそも帰宅願望とはどういうものでしょうか?
文字を辿れば「家に帰りたい!」という意味ですよね。
ただし認知症の方の場合、帰りたい家が必ずしも”今住んでいる家”とは限りません!
生まれ育った故郷や、自分の親や兄弟のいる所だったりもします。
人は居心地の良いところに行きたいという習性があるため、「家に帰りたい」という感情は誰しも抱く感情です!
旦那さんと喧嘩したり、学校や会社で嫌なことがあったら、”安心できる所”に帰りたくなりませんか?
介助者からすれば対応に困る帰宅願望ですが、認知症の当人とっても当たり前の気持ちなんですよね💦
なので、認知症による帰宅願望自体を問題視する必要はありません!
そう考えると、ちょっと心が軽くなりませんか?
★帰宅願望の原因
人は居心地の良い処へ行こうとする習性があることは、先ほども触れましたね。
逆にいえば、「帰りたい」という気持ちがあるということは、今の環境に何らかの理由で居心地の悪さを感じていることになりますよね!
子供の頃、久しぶりにどこか旅行に行ったり、遊びに行ったりしたとき「まだ、帰りたくないよ〜〜」って思ったりしませんでしたか?
まだ帰りたくないよ〜〜
楽しさや居心地が良いところはいつまでも居続けたいと思うもんです☺️
ここに帰宅願望の原因を考える上でヒントになります✨
それでは居心地が悪いと感じる原因を見ていきましょう!
認知症による原因
認知症の症状が進行すると、身近な人や馴染みの場所でさえ分からなくなってしまうことがあります💦
そのため、本人にとっては今いる現状を「知らない家に連れてこられた」、同居人や施設職員を「知らない人」と認識してしまうこともあり、不安やストレス、孤独を感じて居心地が悪いと感じるようになります。
環境による原因
認知症の方は環境にとても敏感です。
家の家具の位置や色が変わっただけで、自分の家と認識できなくなることもあります。
これは身の回りの物品の変化に限らず、認知症当人の身の回りに気の知れた仲間や家族がいるかどうかなど、人間関係の影響もあります。
日々の生活で孤独やストレス、違和感を感じるようなことがあると安心できる場所へ帰りたく(移動したく)なるのです。
仮に認知症の方が何か粗相をしたとき、介助者が怒るようなことをすれば帰宅願望がより強くなる可能性がありますので、注意しましょう!
また自分の居場所がここにはないと感じると、自分の存在を認めてもらえるところへ行きたいと思われる方もいらっしゃいます。
夕暮れ症候群による原因
特に認知症の方は、日が沈む頃から不安や落ち着きがない様子が現れてやすいですよね💧
一般的には「夕暮れ症候群」と呼ばれているやつです…
ただこれは認知症に限らず、わたしたちも当てはまることではないでしょうか?
夜になれば仕事や学校から自分の家に帰りますよね。「カラスが鳴くから 帰〜えろう♪」なんて歌もあるくらい、自然なことです。
認知症の方は見当識障害によって時間が分からなくなり、ときには数十年前の姿に戻っているなんてこともあります⏳
いま居る家ではなく、昔の住んでいたところへの帰宅願望が現れたりするんですね。
その他の理由
帰宅願望が現れている認知症の方のお話では、夕方になると「子供のお迎え」や「家族のために料理を作らなきゃ」というお気持ちもよく聞きます。
主婦(お母さん)の立場にあった方は、昔の習慣や使命感から帰宅や買い出しなどに行きたいと願望されるわけです。
帰宅願望の背景には、本人のこだわりや過去の生活歴を知るのも大事だとわかります✨
★対応のコツ
認知症の方が「帰りたい」と願望され落ち着かなくなる原因がわかれば、対応策は見えてきますよね✨
ここではどう対応したらよいのか、いくつか紹介しますね✏️
まずは否定しない!
認知症の方に対して間違いを指摘するような声掛けをすると、返って混乱を招きいて不安を強めてしまう場合があるんです💦
ここは私の家じゃないから帰る!
何言ってるの?
もう5年以上、ここに住んでるじゃない!
「ここは私の家じゃないから帰る!」と話す入居者にこのような否定をしてしまうと、混乱や興奮がますます強くなります!
え!? どうゆうこと?
5年?? 嘘でしょ!!
認知症本人にとっては「自分の家ではない」状態が”事実”になっているので、周りの人の言葉が間違っていると思うんですね💦
不安や興奮状態が見られたら、「〇〇さんが好きなお茶を用意しましたよ」など本人が落ちつけるような声がけを心がけましょう!
理由を聞いてみる
わたしたちと同様に「帰りたくなる」理由は、認知症当人にもありますので、その理由を聞いてみましょう!
そのときのコツは、しっかり時間をとって、相手と目線を合わせて”聞いてますよ”っていう姿勢を見せることです✨
例えば「夕飯を作るから帰りたい」という理由が知れたら、さらに深堀していくとよいでしょう✏️
・自分のため?
・家族のため?
・今日が特別な日だから?(認知症当人にとって)
など具体的な話を聞ければ、介助者もより上手い声掛けが思いついたりしますよね✌️
また認知症当人にとっても、一通り話すことで落ち着くということもあります☺️
”聴く”という漢字は『十分に目と心を持って、耳を相手に向ける』という成り立ちから来ています✨
単に”聞く”ではなく、”聴く”ことを意識しましょうね〜
考える時間をなくす
ちょっとアラ技かも知れませんが💦
独りでいるときって、余計なことを次から次へと考えたりしませんか?
逆に何かに集中しているときには、目の前のことだけを考えていられます👀
なので帰宅願望が出る前に、本人が好きそうな活動(日記、新聞の読み込み、テレビや音楽観賞など)を促し、注意をそらすと効果的な場合があります。
例えば認知症本人が元々主婦だった場合、一緒に掃除や料理、洗濯畳みをすると、”自分の居場所・役割”を見つけられるので、今いる場所が居心地よく感じることもあるようで、「もっと何かすることない?」って積極的にお手伝いされる方もいらっしゃいます✨
環境を整える
原因のところで解説しましたが、「帰りたい」理由の1つに”居心地の悪さ”があります!
なので本人にとって、どんな環境であれば居心地が良くなるのかを一緒に考えていきましょう✏️
・静かな環境?
・大勢の人とワイワイする環境?
・何かに打ち込める環境?
など、その方の生活歴や性格で異なるハズ
その方の嗜好を知るために、しっかりと向き合いたいですねv
また、テーブルや部屋の入口など目のつくところに、名前を提示しておくと「ここが自分の居場所である」と認識しやすくなるので、試してみるとよいでしょう。
★まとめ
ここまでみてきたいように、認知症の方に現れる「帰りたい!」というお気持ちには理由がしっかりあって、私たちと何ら変わりません。
まずは相手の話やお気持ちをしっかりと”聴く”ことを意識する、これだけで声かけや対応の仕方が見えてきます!
もちろん、それが上手くいくときもあれば、いかないときもあります。
認知症の方に対して介助者が何も知らな状態で一辺倒な対応でやり続けるよりは、色々とトライ&エラーを繰り返して行った方が、経験が積み重なり、心の余裕も大きくなってきます⭐️
認知症当人も、そういった介助者の真摯な姿勢は印象に残っているものです✨
たとえ忘れてしまっても、頭の片隅には「この人、確か良い人だったような・・・」と思ってもらえるハズです☺️
認知症本人は不安や孤独を感じやすいので、周りの介助者がそっと寄り添っていくことが大切で、お互いが心から笑顔になれるよう、ぜひ効果的なケアを探って行ってくださいね⭐️