認知症による介護拒否を減らすテクニック集

心健やかに

介護の経験をされた方の中に、こんな経験はないでしょうか?

「更衣のお手伝いをしたら、いきなり抓られた」
「お風呂のお誘いをしたら、断られた」
「お薬を与薬しようとしたら、吐き出されてしまった」
「ディサービスのお迎えが来たのに、行きたがらない」

など

認知症の方の介護されていると、このような経験はよくある話です💦

介助者としてはイライラを感じることもあるかもしれません。。。。

ギフケン
ギフケン

いったいどうすればいいの?

このような「介護拒否」に対して、わたし達はどのように対応すればよいのでしょうか?

結論からいえば、認知症の症状は一人ひとり異なるので、介助に対して「絶対コレだ!」っていう正解はありません!

ただ専門家や介護施設の職員の経験などから、「こうやったら上手くいくかもよ」っていう方法はあります✨

ここでは、在宅介護をされている方が介護拒否に直面した際の対応ポイントについて触れています✏️

ぜひ参考にしてみてください!

★介護拒否による弊害

認知症の方が介護拒否されることは日常茶飯事なんですが、拒否があった場合に生じる弊害について、まずは知っておきましょう☝️

介護拒否における弊害は大きく分けて以下の3つが挙げられます✏️

<適切なケアができない>
更衣や入浴、排泄への介助に拒否が続いてしまった場合、衛生上よくありませんよね。衛生が保てないまま放置してしまうと、認知症の当人が感染症や褥瘡など他の疾病を引き起こす可能性が高くなり、さらに介助者には「ネグレクト」という虐待に加担したことになります。

<要介助者のストレス増大>
介助に拒否があるということは、その方が何らかの理由で「(介助を)されたくない/受けたくない」と思われています。これを無理やり介助者が関わってしまうと、本人にとって強いストレスになってしまいます。

あの人、いきなり私の体に触ろうとして・・・
なんなのかしら?

<介助者の自信喪失>
介助者としては一生懸命に介護していても、本人から拒否されると心が折れますよね。

また時間がない時に拒否されたりすると、イライラしてしって本人に八つ当たりするっていうケースもあるかもしれません、、、、これが進むと巷で騒がれる”虐待”へと発展してしていきます💦

介護ってしんどい・・・

——-

このように介護拒否がある状態では、本人にとっても介助者にとってもデメリットしかないため、いかにして介助者が本人と上手く接していくかが鍵になります!

介護拒否の弊害

・適切なケアができない
・要介助者のストレス増大
・介助者の自信喪失

★拒否の原因

適切な介護ケアを行うためには、本人の拒否の原因や理由を知ることが大切です☝️

主に考えられる拒否の原因は以下の4つが主に考えられます。

<介護されることへの拒否>
「自分のことは自分でやる!」
「まだまだできる!」
「介護されるなんて恥ずかしい」
などプライドや羞恥心から介護を受けること自体に抵抗を感じる方も多くいらっしゃいます。

<状況が把握できていない>
認知症や疾病により身体機能の衰えをご自身で把握できておらず、自分が介護を必要としている状態であることの認識がない場合があります。

例えば、食べ物を前にしても「食べ物として理解していない」/「勝手に出された食事には毒が入っているのではないか」など認識や恐怖心から、「なんで?どうして??」と頭の中で不安で一杯になっていることもあります。

<ケアのタイミングや方法が不適切>
人には習慣ってありますよね。さらに習慣には「○時にお風呂に入って、頭から洗って次は・・・」って、時間や方法、順番が決まっていることがほとんどです。

介助者の都合のタイミングや方法で介助に入ると、その方の習慣と異なるために違和感を感じて拒否されることが少なくありません。

<体調が悪い>
喉が痛くて食べ物が通らない、関節の節々が痛くて動きたくないなど、体調が悪くて「食べたくない」/「お風呂に入りたくない」って拒否されることもあります!

<薬の影響>
高齢の方は様々な疾病を抱えられていて、複数の薬を飲まれている方が多くいらっしゃいます。

副作用から眠気の増進や倦怠感などが出る薬もあり、これが介護への拒否に繋がる場合も考えられます。

★対応のポイント

上記で介護拒否の原因についてみてきましたが、実際には複数の原因が組み合わさっている場合が多く、一人ひとりの状態やお気持ちをしっかりと把握していくことが、最適なケアを探る鍵となります!

ここでは各場面ごとに対応のポイントを紹介しておりますので、参考にしてみてください⭐️

食事編

「食べたくない」と拒否がある場合、考えるポイントは以下の4つです!

食事拒否の考えるポイント

・食べ物として認識していない
・食べ方がわからい
・体調が悪い
・環境が整っていない

それぞれのポイントについて細かくみてみましょう✏️

食べ物として認識していない
例えばサラダの胡麻ドレッシングをみたとき、その胡麻がゴミや虫に見えてしまったらどうでしょうか?

認知症の症状の1つに失認というのがあって、ものごとを正しく判断できないことがあります。

なので、介助者としては認知症の方が食べ物として認識できるようなお声がけが大事です✨

「今日のサラダは胡麻ドレッシングで敢えてますよ」/「こちらはゴボウのポタージュです」としっかり説明すると良いでしょう。

また視覚以外の情報(嗅覚、触覚など)を利用するのも効果的です。

食べ方がわからない
認知症の症状として失行というのがあり、道具の使い方などやり方が分からなくなることがあります。

日常動作であれば身体が覚えていることがほとんどなので、ちょっとしたキッカケがあれば理解したり、思い出すことが多いです。

例えば、介助者が一緒に同じメニューを食事すると、それをみて本人が真似しはじめて食事が進む場合があります。

また食器が使いにくい場合は、介護用の食器を利用すると本人にとてもストレスなく食事することができます。

体調が悪い
倦怠感があって食欲がない、入れ歯が合わない、歯が痛い、口内炎があるなど体調に関して様々な要因が考えられます。

本人のお気持ちをしっかり聴いた上で、医師に相談したり、食形態の見直しをすると良いでしょう。

歯の噛み合わせや体調が悪いのに無理に食べさせたりすると、誤嚥の危険性があるので注意が必要です。

環境が整っていない
認知症の方は注意が外れやすく集中力が長く続かないことがあるので、周囲の音や周りの人の言動など、注意が外れそうなものは極力退けるように配慮しましょう。

また筋力低下により、長いこと同じ姿勢を保つことが困難である場合もあります☝️

そんなときはクッションを使うなどして、本人が安楽な体勢でお食事ができるようにすることが大切です。

また便秘や頻尿などで「トイレを気にされている」方も意外に多く、食事に集中できない要因として体調が密接に関わっていることは多くあり、排泄面でのケアも意識する必要があります✏️

普段わたし達が何気なくやっている食事でも、こうした環境整備がとても重要になってきます。

入浴編

入浴拒否が見られる方のお気持ちは以下のようなことが考えられます。

入浴拒否の考えるポイント

・羞恥心がある
・入浴が必要と思っていない
・タイミングや方法が悪い
・体調が悪い/めんどくさい

羞恥心がある
入浴するときは全裸かつ無防備な状態になるので、本人が羞恥心を抱くのは当然で、介助者との信頼関係がないと難しい傾向があります。

プライバシー の保護や日頃からの接し方を大切にしていきましょう✨

入浴が必要と思っていない
認知症の影響で本人自身もいつ入浴したのかわからなくなり、「さっき入ったよ」/「汚れてないから大丈夫よ」と入浴の必要性を感じていない場合があります。

そんな中で、介助者が「綺麗になるから」とか「だいぶ入ってないから」など声がけすると、本人の気分を損ねることになりかねません💦

入浴を強要するのではなく、「身体に薬を塗りたい」/「体重を測りに行きませんか?」などと脱衣所へうまく誘導し、「お湯が張ってあるんですけど、ひと風呂どうですか?」と”ついでごと”のようにお誘いすると、本人が乗ってくれることもあります。

タイミングや方法が悪い
お風呂はその方のルールが一番出るところではないでしょうか?

タイミングは朝・夕・寝る前など、人とによって異なるでしょう。また入浴の順番も湯船に浸かってから身体を洗う人、頭から洗う人など、各々でルールがあるはずです。

なので、極力その方のルールに沿った入浴介助をするのが大切です✨

体調が悪い/めんどくさい
高齢になると疲れやすくなったり、体調変化が激しかったりします。

体調が悪いときは無理せず、また単に拒否がある場合は「入浴が楽しくなる」ような配慮が必要と考えます。

例えば、「女子会トークで盛り上げる」や「本人の好みの入浴剤を使用する」など工夫を凝らすと良いでしょう👍

排泄編

トイレ誘導やおむつ交換などで介助者が介入しても、本人が拒否する場合のポイントです。

排泄拒否の考えるポイント

・タイミングがズレている
・トイレが怖い
・トイレの意味/場所がわからない

タイミングがズレている
尿意や便意がないのにトイレに行っても排泄はできないので、そもそもトイレへ行く必要性を感じていません。

その方の日々の生活記録を参考にトイレのタイミングを把握することがポイントです。

トイレが怖い
過去に失禁等で排泄を失敗したことで、本人が自責の念を持たれていたり、家族に怒られた恐怖などから、トイレや排泄自体に嫌な思い出として残っていることがあります💦

また失敗したらどうしよう・・・・

そんなときは、トイレの模様替えや香り付けやお気に入りの写真を飾るなど「トイレ=嫌な場所、怖い」というイメージを塗り替えるような工夫をすると良いでしょう!

トイレの意味/場所がわからない
見当識障害や認知・記憶力の低下で、トイレの場所やトイレ自体の言葉が理解できない場合があります。

そんなときはお手洗い、便所、厠など言葉を変えて、理解できそうな言葉や表示、ジェスチャーがないか探ってみると良いでしょう。

更衣編

一日中同じ服で過ごされるなど、着替えに抵抗を示される方もいらっしゃいます。

以下のポイントを押さえておくと改善が見られることがあります☝️

更衣拒否で考えるポイント

・身体的に負担がある
・着替え方がわからない
・羞恥心や自尊心がある

身体的な負担
高齢になると骨の稼働範囲の制限や筋肉の低下により肩や足が上がりにくくなることがあります。

無理に動かすと苦痛や骨折を引き起こすことになるので、本人の身体が動かしにくそうだと感じたら、理学療法士など専門の方に相談してみると良いでしょう。

着替え方がわからない
実行機能障害や失行など認知症の症状により、本人が着替えたくても上手く遂行できない場合があります。

介助者は本人の様子を観察し、どんなことができて/どんなことができないのかを把握することが大切です。

例えば、本人が着替える順番を忘れてしまっているようなら、着る順番に着替える服を重ねてセットしたり、Tシャツなどどの口に手や首をどう通してよいか迷っている場合には、前開きのシャツを用意するなどの工夫をするとよいでしょう✏️

羞恥心や自尊心がある
着替えに関しても、プライバシー の域が強く中々他人が介入するのは難しい部分です。

本人のタイミングや気分に応じて、介助者はそっと遠くから見守ったり、ボディクリームを塗るというのを口実に着替えをさり気なく行うなど、本人の羞恥心や自尊心に触れないような工夫が必要です。

★まとめ

これまで介助拒否があった場合の対応ポイントをシーン別にみてきましたが、結局のところどの場面であっても共通することはあります。

・無理強いをせず本人のお気持ちに寄り添う
・タイミング見計らう
・具体的に声をかける
・信頼関係を築く

認知症の方が「この人といると安心する」と思っていただけるような接し方をし続けることで、本人も介護のことを理解して受け入れてくれるようになるはずです。

それには長い時間がかかるかも知れませんが、「いつかはお互いが心通じるようになる」と信じてケアに臨んでくださいね✨

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